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佐伯 盛久*; 松村 大樹; 中西 隆造*; 蓬田 匠; 辻 卓也; 齋藤 寛之*; 大場 弘則*
Journal of Physical Chemistry C, 126(12), p.5607 - 5616, 2022/03
被引用回数:1 パーセンタイル:13.38(Chemistry, Physical)パルス紫外線レーザー照射によって引き起こされるRhイオン錯体のRh種への直接光還元反応機構を、分散型X線吸収微細構造(DXAFS)分光法によって調べた。時間分解X線吸収端近傍構造(XANES)には等吸収点がなく、Rhの直接光還元に2種類以上のRhが寄与することを示した。時間分解XANESデータの特異値解析から、直接光還元には3つのRh種が関与することが示唆された。時間分解XANESデータを、交互最小二乗法による多変量解析(MCR-ALS)により解析したところ、3つのRh種の純粋なスペクトルと濃度プロファイルが得られた。Rh種は、3つのXANESスペクトルの特徴から、Rh, Rh, Rh種に分類できた。得られた濃度プロファイルから、Rhの直接光還元はRh Rh Rhの順で進行することが示唆され、RhとRhの光還元、RhとRhの光による自己触媒的還元、Rhの光酸化による反応機構により、3種のRhの濃度プロファイルがよく再現できることが示された。
佐伯 盛久; 田口 富嗣; 松村 大樹; 中島 信昭*; 大場 弘則
no journal, ,
パラジウムなどの白金族金属イオン水溶液に紫外レーザーを照射すると光還元反応が起こり、還元によって電荷的に中性化した金属は凝集して微粒子化する。我々はこのレーザー誘起微粒子化反応を利用した元素分離法を考案し、放射性廃液から白金族金属イオンを効率的に微粒子化して分離する方法を研究してきた。ところで、通常、レーザー誘起微粒子化反応を起こすためには、白金族金属イオン水溶液に犠牲剤として多量のアルコールを添加する必要がある。しかし、放射性廃液に多量のアルコールを添加するのは、予期せぬ反応が起こる可能性があり、望ましくない。今回我々は、(1)添加アルコール濃度を1%まで減らしても、パラジウムイオン水溶液にモリブデン負イオンを加えれば効率的にレーザー誘起微粒子化反応を進行させることができ、(2)その反応効率が照射パルスレーザーの繰返し周波数に依存して変化することを見出したので、報告する。
佐伯 盛久*; 松村 大樹; 中西 隆造*; 蓬田 匠; 辻 卓也; 齋藤 寛之*; 大場 弘則*
no journal, ,
溶液中で負イオンや水分子と錯形成した貴金属イオンPM錯体は紫外領域に電荷移動吸収帯をもつ。このようなPM錯体水溶液にアルコールを添加し紫外レーザーを照射すると、PM錯体は電子励起され、アルコールと反応して中性原子PMへ還元される。還元されたPMは溶液中で自発的に凝集し、微粒子を形成する。この一連のプロセスはレーザー誘起微粒子化(Laser-Induced Particle Formation: LIPF)と呼ばれ、貴金属ナノ微粒子創製や工場廃液からの貴金属回収に利用されている。我々はRhイオン錯体を対象にし、エネルギー分散型X線吸収微細構造分光法によるその場観測により、そのLIPF反応機構を調べた。得られたX線吸収スペクトルを解析した結果、Rh還元反応には3つの酸化数をもつRh種が関与し、Rh Rh(中間体)Rhと進行することを明らかにした。
佐伯 盛久*; 松村 大樹; 中西 隆造*; 蓬田 匠; 辻 卓也; 齋藤 寛之*; 大場 弘則*
no journal, ,
Rhイオン錯体のRh種への直接光還元反応機構を分散型X線吸収微細構造分光法を用いて研究した。時間分解X線吸収端近傍構造(XANES)の結果より、Rhの時間分解XANESスペクトルに等吸収点がないことがわかった。このことは、Rh, Rh以外のRhが反応に寄与していることを示唆している。そこで、時間分解XANESデータに特異値分解法を適用して解析したところ、3つのRh種が直接光還元に寄与していることがわかった。次に、Rh中間体のスペクトル情報を抽出するために、多変量スペクトル解析を用いて時間分解XANESデータを解析することで、Rh種の純粋なスペクトルと濃度プロファイルを得ることができた。最終的に、純粋なスペクトルの特徴から、中間体をRh種に帰属することができた。